田中マンは、健康志向になった。
きっかけは健康診断での一言――「運動不足ですね」
「じゃあ歩こう」と決めた。
単純だが、それが田中マン。
いつもの電車を、3駅手前で降りる。
そこから職場まで約30分、ちょうどいい運動になるし、気分もいい。
■ 立ちはだかる「服務の壁」
しかし、そこに立ちはだかったのは“通勤経路”という壁だった。
「田中くん、それ…申請経路と違うよね?」
庶務の職員が少し困った顔で言う。
「でも定期代は、最も安いルートで申請してますよ?」
そう返す田中マン。
「それでも、申請経路と実際が違うと“問題”になるかもって話で…」
――また出た。「それはそれで決まってるから」という魔法の言葉。
■ 田中マンの問いかけ
少し考えた田中マンは、こう言った。
「合理的なルートで金額を正しく申請していれば、実際の通勤ルートに柔軟性があってもいいんじゃないですか?」
その一言に、周囲がざわつく。
■ 小さなメモが巻き起こした“通勤改革”
数日後、田中マンは庁舎の掲示板に小さなメモを貼った。
『通勤って、健康と心の準備体操だと思うんです。』
その下には、QRコードと小さな一言。
「“自分に合った通勤”、考えてみませんか?」
QRの先には、田中マンが作った「勝手に通勤スタイル調査」。
内容はシンプル。「最も合理的なルートで申請しつつ、自分に合った通勤スタイルを選びたい人」に〇をつけるだけ。
そして――
1週間後、“〇”の数は100を超えた。
これを見た担当係長がつぶやく。
「これ…制度見直すきっかけにしてもいいかもな」
■ 今日も、3駅分の健康投資
田中マン、今日も3駅歩く。
「ルートの形式より、内容の合理性を大事にしたいですね」
――そんなことをつぶやきながら。
コメント