第2話『遠くて近い、通勤の話』

田中マンシリーズ 公務員あるある 働き方改革

田中マンは、健康志向になった。

きっかけは健康診断での一言――「運動不足ですね」

「じゃあ歩こう」と決めた。
単純だが、それが田中マン。

いつもの電車を、3駅手前で降りる。
そこから職場まで約30分、ちょうどいい運動になるし、気分もいい。


■ 立ちはだかる「服務の壁」

しかし、そこに立ちはだかったのは“通勤経路”という壁だった。

「田中くん、それ…申請経路と違うよね?」
庶務の職員が少し困った顔で言う。

「でも定期代は、最も安いルートで申請してますよ?」
そう返す田中マン。

「それでも、申請経路と実際が違うと“問題”になるかもって話で…」

――また出た。「それはそれで決まってるから」という魔法の言葉。


■ 田中マンの問いかけ

少し考えた田中マンは、こう言った。

「合理的なルートで金額を正しく申請していれば、実際の通勤ルートに柔軟性があってもいいんじゃないですか?」

その一言に、周囲がざわつく。


■ 小さなメモが巻き起こした“通勤改革”

数日後、田中マンは庁舎の掲示板に小さなメモを貼った。

『通勤って、健康と心の準備体操だと思うんです。』

その下には、QRコードと小さな一言。

「“自分に合った通勤”、考えてみませんか?」

QRの先には、田中マンが作った「勝手に通勤スタイル調査」。
内容はシンプル。「最も合理的なルートで申請しつつ、自分に合った通勤スタイルを選びたい人」に〇をつけるだけ。

そして――

1週間後、“〇”の数は100を超えた。

これを見た担当係長がつぶやく。

「これ…制度見直すきっかけにしてもいいかもな」


■ 今日も、3駅分の健康投資

田中マン、今日も3駅歩く。

「ルートの形式より、内容の合理性を大事にしたいですね」
――そんなことをつぶやきながら。

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